pn接合はp型半導体とn型半導体が接触している部分です.本記事ではpn接合の電流-電圧特性を解説します.
pn接合の電流-電圧特性
pn接合の電流-電圧特性は図1のようになります.
理想的には順方向バイアスで電流が流れ,逆方向バイアスでは電流が流れない整流作用を持ちます.しかし実際は,高い逆方向バイアスをかけると,電流が流れてしまいます.これを降伏 (逆降伏)といいます.順方向も電流がいくらでも流れるわけではなく,寄生抵抗などにより流れる電流が頭打ちになる抵抗性領域があります.
以上のpn接合の電流-電圧特性を以下で解説していきます.
pn接合の理想の電流-電圧特性
図2に理想のpn接合の電流-電圧特性 (降伏と抵抗性領域を無視)について示します.
「pn接合とは」で順方向電流は拡散電流と再結合電流,逆方向電流は拡散電流と発生 (生成)電流に分けられることを示しました.順方向においてバイアス電圧が低いときは再結合電流の影響も強いですが,バイアス電圧が大きくなると空乏層の幅も狭くなるため再結合電流も小さくなります.理想の電流-電圧特性を示しますが,再結合電流と発生電流は十分に小さいとして拡散電流のみを考慮します.
電流密度\(J\)は流れる電子の電流密度\(J_n\)と正孔の電流密度\(J_p\)から以下のようになります.
$$J=J_n+J_p$$
計算は省きますが,キャリア密度や連続の式などから電流密度は以下のようになります.また以下の理想の電流-電圧特性をグラフにしたものが図2です.
$$J=J_0\left\{\exp(\frac{qV}{kT})-1\right\}$$
\(J_0\):逆方向飽和電流
\(q\):電気素量
\(V\):電圧
\(k\):ボルツマン定数
\(T\):温度
降伏現象
図2で説明したように基本的に逆方向バイアスでは電流は流れませんが,さらに高い逆バイアスをかけると図3のように電流が流れるようになります.
これを降伏をいい,降伏はなだれ降伏とツェナー降伏の二つがあります.詳しくは別の記事で解説します.
抵抗性領域
順方向では電圧がかかるほど電流が流れますが,寄生抵抗などにより流れる電流が頭打ちになります.これを抵抗性領域といい,図4のようになります.
まとめ
- pn接合の電流-電圧特性:理想では基本的に順方向で電流が流れ,逆方向では電流が流れない整流作用を持つ
- 降伏:高い逆バイアスにより電流が流れるようになる
- 抵抗性領域:順方向で寄生抵抗などにより流れる電流が頭打ちになる