MOSFETの構造と動作原理について解説していきます.MOSFETの基礎と動作の理解に役立ててください.
MOSFETの構造

MOSFETはPチャネルMOSFET (pMOS)とNチャネルMOSFET (nMOS)の二つがあり,上図のような構造をしています.以下ではnMOSを例にMOSFETの動作を説明しています (pMOSはnMOSの反対の動作をします).
MOSFETの動作原理
MOSFETの動作は、ゲート電圧とドレイン電圧によって変化します。以下ではnMOSを例に、\(V_{GS}<V_{TH}\)のサブスレッショルド領域 と、\(V_{GS}>V_{TH}\)での線形領域・飽和領域を説明します。

サブスレッショルド領域では、ゲート-ソース間電圧 \(V_{GS}\) がしきい値電圧 \(V_{TH}\) より低く、強反転チャネルは形成されていません。ただし、実際にはサブスレッショルド電流(弱反転電流)と呼ばれる小さなドレイン電流が流れます。「電流が流れない」という扱いは、理想的なスイッチモデルでの近似です。
ゲート電圧 \(V_{GS}\)がしきい値 \(V_{TH}\)より大きいとき,ゲート下は反転してn層になります.そうなるとソース-ドレイン間がn-n-n層となって導通するため,電流が流れます.線形領域では,ドレイン電圧\(V_{DS}\)を大きくするほど,流れる電流も大きくなります.
ドレイン電圧 \(V_{DS}\) を大きくすると、ドレイン側ほど反転層が薄くなります。長チャネルnMOSの基本モデルでは、\(V_{GS}>V_{TH}\) のとき \(V_{DS}\ge V_{GS}-V_{TH}\) になるとドレイン側でピンチオフが生じ、飽和領域に入ります。\(V_{GS}-V_{TH}\) はオーバードライブ電圧と呼ばれます。
まとめると、サブスレッショルド領域ではドレイン電流は非常に小さく、線形領域と飽和領域ではより大きな電流が流れます。これらの特性を利用して、MOSFETはスイッチや増幅器として使われます。
ゲート電圧-ドレイン電流 (MOSFET)

上図はゲート電圧\(V_{GS}\)を変化させたときにドレイン電流がどう変化するかを示しています.ゲート電圧\(V_{GS}\)がしきい値電圧\(V_{TH}\)を超えるとドレイン電流が流れます.
サブスレッショルド領域では基本的に電流は流れませんが,わずかに流れています.これはリーク電流といって,消費電力を上げてしまう一つの原因となります.
ドレイン電流-ドレイン電圧 (MOSFET)

- \(\mu_n\):移動度
- \(C_{ox}\):ゲート容量
- \(W\):ゲート幅
- \(L\):ゲート長
- \(V_{TH}\):しきい値電圧
- \(V_{GS}\):ゲート電圧
- \(V_{DS}\):ドレイン電圧
上図はドレイン電圧\(V_{DS}\)を変化した際に,どれだけドレイン電流\(I_D\)が流れるかを示しています (ドレイン電流-ドレイン電圧).また,線形領域と飽和領域 (チャネル長変調効果なし)で流れるドレイン電流\(I_D\)の式を示しています (チャネル長変調効果はMOSFETの基礎④【チャネル長変調効果】で解説します).
ドレイン電流の導出とpMOSの波形はMOSFETの基礎③【ドレイン電流の導出】でしています.また式の一部分をまとめて,以下のように示すこともあります.
- オーバードライブ電圧:\(V_{ov}=V_{GS}-V_{TH}\)
- 利得係数:\(\beta=\frac{W}{L}\mu_nC_{ox}\)
MOSFETの動作原理とゲート電圧-ドレイン電流,ドレイン電流-ドレイン電圧を示しました.それぞれが混同してしまうかもしれませんが,しっかりと対応しているので,じっくり考えてみて下さい.
まとめ
- サブスレッショルド領域:ドレイン電流が流れない領域
- 線形領域:ドレイン電流が流れる領域
- 飽和領域:ドレイン電流が流れる領域 (電流値が飽和)

