電気回路の用語集②【抵抗,インピーダンスなど】

工学
あお

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 電気回路の用語集②です.復習として,電子回路に必要な基礎知識を示しています.知らなかったり忘れている内容がある場合は,電子回路を勉強する前に復習することをおすすめします.

抵抗

 抵抗は、電流の流れを妨げる物理的特性を持つ電子部品です。電流が流れる際に、抵抗は電流の流れを制限し、その結果としてエネルギーが熱として放出されます。抵抗の大きさは、抵抗値(オーム単位)で表され、オームの法則に従って、電圧と電流の関係を決定します。

 電圧 V・電流 I・抵抗 Rは,オームの法則より以下の関係があります.

$$V = R\times I$$

 抵抗値は、素材の種類や形状、長さ、断面積に影響されます。例えば、導体が長くなると抵抗値が大きくなり、太くなると抵抗値が小さくなります。抵抗は、回路内で電流を制御したり、電圧の変化を調整したりするために使用される基本的な部品であり、電子機器や電気回路の設計において重要な役割を果たします。

キャパシタンス (静電容量)

 キャパシタンス(静電容量)は、コンデンサが電荷を蓄える能力を示す物理量です。コンデンサは、2枚の導体板(電極)とそれを挟む絶縁体(誘電体)から構成され、電圧をかけるとその間に電荷を蓄えることができます。キャパシタンスは、蓄えられる電荷量とその間にかけられた電圧の比率として定義され、単位はファラッド(F)です。

電圧 V・電流 I・キャパシタンス Cは以下の関係があります

$$i=C\frac{dv}{dt}$$

 キャパシタンスは、コンデンサの構造や材料によって決まります。例えば、電極の面積が大きいほど、また、電極間の距離が短いほど、キャパシタンスは大きくなります。また、誘電体の性質もキャパシタンスに影響を与えます。キャパシタンスは、電気回路でエネルギーの蓄積や平滑化、信号のフィルタリングなど、さまざまな用途に利用されます。

インダクタンス

 インダクタンスは、電流の変化に対する抵抗のような性質を持つ物理量で、コイルなどのインダクタ(誘導器)によって生じます。インダクタンスは、コイルに流れる電流が変化する際に生じる誘導電圧の大きさを決定します。この特性により、インダクタは電流の変化に抵抗し、電流の変動を抑える役割を果たします。インダクタンスの単位はヘンリー(H)で、コイルの巻数や形状、サイズ、使用される材料などに依存します。

電圧 V・電流 I・インダクタンス Lは以下の関係があります.

$$v=L\frac{di}{dt}$$

 インダクタンスは、特に交流回路で重要な役割を果たします。交流電流が流れると、電流の変化に応じてインダクタは電圧を発生させ、この電圧は電流の流れを制御する働きをします。インダクタは、フィルタ回路やトランス、電力供給システムなどで使われ、信号処理やエネルギーの伝達において重要な役割を果たします。

インピーダンス

 インピーダンスは、交流回路において電流の流れに対する抵抗や反応を示す物理量で、直流回路での抵抗の一般的な概念を拡張したものです。インピーダンスは、電圧と電流の関係を複素数で表したもので、実部と虚部を持ちます。実部は「抵抗」を、虚部は「リアクタンス」(インダクタンスやキャパシタンスによる反応)を表します。インピーダンスの単位はオーム(Ω)で、回路におけるエネルギーの消費や蓄積、放出の度合いを示します。

 インピーダンスは、抵抗(R)とインダクタンス(L)、キャパシタンス(C)の組み合わせによって決まり、これらの素子が交流信号にどのように反応するかを理解するために重要です。例えば、インダクタンスは電流の変化に抵抗する性質を持ち、キャパシタンスは電圧の変化に対して反応します。インピーダンスを利用することで、交流回路の動作を解析したり、フィルタリングやインピーダンス整合など、特定の目的に合わせた回路設計を行うことができます。

 複素数表示で交流回路の電圧と電流の関係を表す際にインピーダンス Zが使われます.インピーダンス Zは抵抗成分のRと,静電容量とインダクタンスの成分であるリアクタンス Xの成分があります.これらは,以下の関係があります.

$$\dot{V}=\dot{Z}\dot{I}$$

$$\dot{Z}=R+jX$$

アドミタンス

 アドミタンスは、交流回路におけるインピーダンスの逆数で、回路が電流を流しやすくする度合いを示す物理量です。アドミタンスは、インピーダンスの逆の性質を持ち、回路がどれだけ容易に電流を通すかを表します。単位はジーメンス(S)で、インピーダンスの単位であるオーム(Ω)に対して、ジーメンスはその逆数の単位です。

 アドミタンスは、実部の「コンダクタンス」(抵抗成分)と虚部の「サセプタンス」(リアクタンス成分)から構成されます。コンダクタンスは、回路の抵抗に対する電流の流れやすさを示し、サセプタンスは、インダクタンスやキャパシタンスの影響を受けた電流の流れやすさを示します。アドミタンスを使うことで、回路の特性や動作をより簡潔に分析したり、インピーダンスとの関係を逆転させて計算することができます。

 アドミタンスはインピーダンスの逆数です (\(\dot{Y}=\frac{1}{\dot{Z}}\)).アドミタンス Yは抵抗の逆数のコンダクタンス成分のGと,静電容量とインダクタンスの逆数の成分であるサセプタンス Bの成分があります.以下の式が成り立ちます.

$$\dot{I}=\dot{Y}\dot{V}$$

$$\dot{Y}=G+jB$$

入力インピーダンスと出力インピーダンス

 入力インピーダンスと出力インピーダンスは、電子回路において信号の入出力端子に関連する重要な特性です。

 入力インピーダンスは、回路に信号を入力する際、入力端子が信号源に対してどれだけの抵抗を示すかを表す値です。入力インピーダンスが高いほど、信号源に対する負荷が少なく、信号が回路にほとんど影響を与えずに入力されます。高い入力インピーダンスは、例えば、オペアンプなどの回路で信号源に負担をかけずに入力できるようにするために重要です。

 出力インピーダンスは、回路の出力端子が負荷に対してどれだけの抵抗を示すかを表す値です。出力インピーダンスが低いほど、回路からの信号が負荷に対して強く供給され、信号の劣化が少なくなります。出力インピーダンスが高い場合、負荷に信号がうまく伝わらず、出力信号が減衰する可能性があります。

 入力インピーダンスと出力インピーダンスの設計は、信号の正確な伝達と回路間の適切なマッチングを確保するために非常に重要です。

まとめ

  • 抵抗:電流の流れにくさ
  • キャパシタンス:電荷を蓄えられる量
  • インダクタンス:電流の変化によって誘導起電力となって現れる性質
  • インピーダンス:交流回路の電圧と電流の比
  • リアクタンス:交流回路の静電容量とインダクタンスの成分
  • アドミタンス:交流回路の電圧と電流の比 (インピーダンスの逆数)
  • コンダクタンス:抵抗の逆数
  • サセプタンス:リアクタンスの逆数
  • 入力インピーダンス:電圧が入力される回路のインピーダンス
  • 出力インピーダンス:電圧を出力する回路のインピーダンス

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