電子回路のための基礎知識①です.復習として,電子回路に必要な基礎知識を示しています.知らなかったり忘れている内容がある場合は,電子回路を勉強する前に復習することをおすすめします.
- 電子回路のための基礎知識①【今ココ】
【電力,有効数字,単位など】 - 電子回路のための基礎知識②
【抵抗,インピーダンスなど】 - 電子回路のための基礎知識③
【重ね合わせの理,テブナンの定理など】
- 電子回路の基礎まとめ!
直流・交流
直流 (DC)は上図のように,電流や電圧が変化しない電流の流れです.交流 (AC)は反対に,電流や電圧が変化する電流の流れです.直列と交流では回路の解法などが異なります.
電圧・電流・電力・電力量
電圧は電気を押し出す力,電流は流れる電気の量です.電力は単位時間あたりの仕事,電力量は消費したエネルギーです.これらは,以下の式の関係があります.
$$電力 P [W]=電圧 E [V] \times 電流 I [A]$$
$$電力量 W [Wh]=電力 P [W] \times 時間 t [h]$$
デシベル
デシベル [dB]は量を比較するものです.電子回路ではゲイン (増幅度)の単位として使われます.通常のゲインでは数字が小さすぎたり大きすぎたりしますが,デシベルだと値が小さくなって比較がしやすくなります.また増幅器を直列につないだ際,全体のゲインをより簡単に導くこともできます.デシベルの計算方法を以下に示します.入出力比の常用対数に電力は10倍,電圧と電流は20倍した値になります.
電力:\(Gp [dB] = 10\log_{10}\frac{P_{OUT}}{P_{IN}}\)
電圧:\(Gv [dB] = 20\log_{10}\frac{V_{OUT}}{V_{IN}}\)
電流:\(Gi [dB] = 20\log_{10}\frac{I_{OUT}}{I_{IN}}\)
有効数字
有効数字は実験値や計算値で,意味のある範囲までの数字のことです.どの桁までか有効な数字かを表現する際に,有効数字何桁といった表現をします.例ですが,以下の数字はすべて有効数字3桁です.
①356
②35.6
③3.56
④0.356
⑤0.0356
単位一覧
電子回路で良く使われる単位を以下に示します.
名称 | 単位 |
電力 P | [W (ワット)] |
電力量 W | [W・s],[Wh] |
電圧 V | [V (ボルト)] |
電流 I | [A (アンペア)] |
電荷 Q | [C (クーロン)] |
抵抗 R | [Ω (オーム)] |
抵抗率 ρ | [Ω・m] |
コンダクタンス G | [S (ジーメンス)] |
導電率 σ | [S/m] |
静電容量 C | [F (ファラド)] |
インダクタンス L | [H (ヘンリー)] |
インピーダンス Z | [Ω] |
アドミタンス Y | [S] |
リアクタンス X | [Ω] |
サセプタンス B | [S] |
周期 T | [s (秒)] |
周波数 f | [Hz (ヘルツ)] |
受動素子・能動素子
受動素子 (線形素子)は電圧や周波数に従って,そのまま出力する素子です.抵抗,コンデンサ,コイルが受動素子です.
能動素子 (非線形素子)は信号を制御したり増幅する素子です.ダイオード,トランジスタ,サイリスタが能動素子です.
まとめ
- デシベル:ある量を比較するもので,電子回路ではゲイン (増幅度)の単位
- 有効数字:意味のある範囲までの数字
- 受動素子:電圧や周波数に従ってそのまま出力する素子
- 能動素子:信号を制御したり増幅する素子