イメージセンサは人の網膜にあたり、光を電気信号に変換する素子です。一眼レフカメラやスマホ、監視カメラや工場などの様々な場所で使われます。本記事ではイメージセンサがどのように光を電気信号に変換するかを説明したあと、CCD・CMOSイメージセンサの違いについても簡単に紹介していきます!
イメージセンサとは
イメージセンサは下図のように,レンズから入った光を電気信号に変換する半導体素子です。イメージセンサは撮影する対象や用途などによって様々のものがあり、本格的なカメラ用やスマートフォン用、研究・開発用の特殊なカメラ用などとして使われます。
イメージセンサの基本構造
イメージセンサは下図のようにいくつかの層によって構成されます。
マイクロレンズはレンズを通った光を,さらに各画素に効率良く光を集光させます。
この光をそのまま電気信号に変換すると様々な周波数の光(様々な色の光)を含んでいるため白黒の画像になってしまいます。そこで光をカラーフィルタに通すことで,必要のない周波数 (色)の光を除去して,カラーの画像を取得できます。一般的なカラーの画像を取得するにはRGB (Red,Green,Blue)のカラーフィルタなどを使います。人の目では捉えられない赤外線などを取得するためのカラーフィルタや、そもそもカラーフィルターがないイメージセンサなどもあります。
カラーフィルタを通った光はフォトダイオードで光電変換 (光→電荷)されます。この電荷を電圧に変換、出力、信号処理などを経て,画像が得られます。
イメージセンサの性能
イメージセンサは撮影する対象や用途などにより、性能や特徴が違います。下の表に主なイメージセンサの性能・特徴を示します。
画素数は画素の数のことで,多いほど出力画像が精細になります。しかし画素数が多いほど画質がいいわけではありません.画素数が増えるほど一画素のサイズが小さくなりやすく,SN比や感度が悪くなったりします。SN比は信号とノイズの比で,SN比が良いほど (高いほど)ノイズが小さく,高画質になります.感度は光をとらえる能力のことで,感度がいいほど光を良くとらえられ、画質やフレームレートを向上できます。フレームレートは単位時間あたりの撮影枚数のことで,フレームレートが高いと高速で撮影できます。
センサのサイズは大きくなるほど画素数や感度を向上して画質が良くなりますが、センサが高価になります。この他にも様々な性能があります.今回紹介した性能も撮影状況などによって,細かい性能指標があり,イメージセンサの開発・設計者は様々なことを考慮して設計する必要があります.
性能・特徴 | 説明 |
---|---|
画素数 | 画素の数 |
SN比 | 信号とノイズの比 |
感度 | 光をとらえる能力 |
分光特性 | 各波長 (各色)の光の感度 |
ダイナミックレンジ | 撮影できる明暗の領域 |
フレームレート | 単位時間あたりの撮影枚数 |
電子シャッタ | 電子的にシャッタの制御 |
消費電力 | センサで消費する電力 |
サイズ | センサの大きさ |
CCD・CMOSイメージセンサ
イメージセンサは主に,CCDイメージセンサとCMOSイメージセンサの2つがあります.この2つについて簡単に紹介します (詳しくはこちら)。
2つの大きな違いは、CCDは信号電荷を転送後に電気信号に変換するのに対し、CMOSでは画素内で信号電荷を電気信号に増幅したあとに信号を転送することです。どちらにも強みと弱みがありますが,以前は画質で優れていたCCDが一般的でした。しかしCMOSの性能が向上し、またCMOSでは製造コストがより安価で、消費電力がより小さい特徴などから,現在ではCMOSイメージセンサが主流となりました。
CCDイメージセンサ
CCDイメージセンサは下図のように,フォトダイオードで発生した電荷を次の画素へ転送します.これを繰り返すことでバケツリレーのように信号電荷を転送し、アンプで電気信号に増幅します。
CMOSイメージセンサ
CMOSイメージセンサは下図のように,フォトダイオードで発生した信号電荷を画素内で電気信号に増幅し、その後信号転送します。
まとめ
- イメージセンサ:カメラの一部で光を電気信号に変換する素子
- CCDイメージセンサ:信号電荷を転送後に,電気信号に変換
- CMOSイメージセンサ:現在の主流.画素内で,信号電荷を電気信号に増幅したあとに信号を転送