【カメラ・イメージセンサ】特殊なノイズ一覧

工学
あお

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 イメージセンサには固定パターンノイズ (FPN)やランダムノイズ (RN)以外に,様々なノイズや現象があります.本記事ではFPNとRN以外の特殊なノイズや現象について,それぞれ説明していきます.各項目でリンクがある場合は,さらに詳細にページがあります.

センサに起きる現象や特性一覧

暗電流

 暗電流は受光面に光が当たっていないのに流れる電流 (電荷が発生)のことです.これにより画素内の信号とは別に電荷が蓄積されるため,ノイズの原因となります。

クロストーク

 クロストークはある画素から周辺の画素へ電荷が漏れたり、信号転送中に信号が互いに干渉したりすることです.ノイズや誤動作の原因となります.

シェーディング (周辺減光)

 シェーディング (周辺減光)はイメージセンサの出力画像の隅が,中央部に比べて暗くなってしまう現象です.口径食や画素感度の違い,コサイン4条測により発生します.

※シェーディング (周辺減光)の再現

ザイデル収差

 ザイデル収差は光の周波数 (色)によらずに,光源の角度や光路の違いによって焦点などががずれてしまう現象です.ザイデル収差は球面収差,コマ収差,非点収差,像面湾曲,歪曲収差の5つがあります.

ザイデル収差 (歪曲収差)
※イメージ図

色収差

 色収差は光がレンズを通るときに,光が周波数により分散するために画像で色がずれてしまう現象です.

※色収差 ( https://photo-mini.com/remove-chromatic-aberration/ より引用)

パープルフリンジ

 パープルフリンジは強い光が当たる部分と暗い部分の境界に,紫色が出てしまう現象です.色収差やブルーミング,画像処理などにより発生します.

※パープルフリンジ( http://foveon623.blog119.fc2.com/blog-entry-631.html より引用)

スミア

 スミアは強い光が受光面に当たったときに,画素の周辺が白くなったり,縦に白い筋ができたりする現象です.

 原因としては,斜めから入った光が隣の画素に電荷が蓄積されたり,フォトダイオード以外の信号線や垂直CCDなどで電荷が発生するなどがあります.

※スミアの再現

ブルーミング

 ブルーミングは受光面に強い光が当たることでフォトダイオードで発生した電荷が飽和し,周辺の画素や垂直CCDに漏れることで,周辺の画素が白く飽和したり,縦に白筋が発生する現象です.

※ブルーミングの再現

高輝度黒反転

 高輝度黒反転はCMOS特有の現象で,強い光が当たったときに出力信号が黒に反転してしまう現象です.

 極めて強い光が当たるとフォトダイオード (PD)の電荷がフローティングディフュージョン (FD)に漏れ出して,電荷を蓄積してしまいます.そのFDを相関二重サンプリング (CDS)の基準としてしまい,結果として信号である差分が0に近くなってしまうため信号が黒として出力されてしまいます.

※高輝度黒反転の再現

フレア

 フレアは強い光がレンズやカメラ内部で反射してセンサに当たることで,写真全体のコントラストが下がって白くなる現象です.

※フレア

ゴースト

 ゴーストは強い光が複数のレンズやカメラ内部で反射した光がセンサに当たることで,本来はない虹のような光の環や玉ができる現象です.

※ゴースト

光条 (光芒)

 光条 (光芒)は太陽などの撮影時に生じるダイアモンドのような光の筋のことです.これは絞りに角があるために生じます.

※光条 (光芒)

ローリングシャッター歪み

 ローリングシャッター歪みはCMOS特有の現象で,各行で読み出す時間にずれにより画像が歪んでしまう現象です.被写体が高速で動く場合に表れます.

※ローリングシャッター歪み
( https://minkara.carview.co.jp/userid/1329862/blog/25805059/ より引用)

残像

 残像は前のフレームの信号が次のフレームに残ってしまうノイズです.

※残像

フリッカー

 フリッカーは蛍光灯などのちらつきのある照明下で撮影した時に,縞模様が発生したり,撮影するたびに明るさが変わってしまう現象です.

 蛍光灯は通常、人間の目ではわからない高速でオン、オフを繰り返しています.イメージセンサを露光する期間に,蛍光灯がオフのときが支配的になると写真が暗くなりします.またCMOSイメージセンサは行毎に別の時間で露光をするため,露光するタイミングによって縞模様が発生します (ローリングシャッタの場合).露光する時間を長くすることでこの影響を小さくできます.

※フリッカー

モアレ

 モアレはモニターや網戸などの被写体の模様のパターンと,イメージセンサの画素配列が干渉して,縞模様が発生する現象です.

※モアレ (モニターを撮影)

ノイズ

 ノイズは本来求める信号とは別に,必要のない情報のことです.ノイズが多いと画質が悪くなります.

まとめ

  • 暗電流:光が当たっていないのに流れる電流
  • クロストーク:信号が互いに干渉
  • シェーディング (周辺減光):隅が中央部に比べて暗くなる現象
  • 色収差:色がずれてしまう現象
  • パープルフリンジ:境界に紫色が出てしまう現象
  • スミア:画素の周辺が白くなるか、縦に白い筋ができる現象
  • ブルーミング:周辺の画素が白く飽和
  • 高輝度黒反転:強い光が当たったときに出力信号が黒に反転
  • フレア:強い光により写真全体のコントラストが下がり白くなる
  • ゴースト:光の環や玉ができる現象
  • 光条 (光芒):強い光により生じるダイアモンドのような光の筋
  • ローリングシャッター歪み:CMOS特有の現象.読み出す時間ずれによる画像の歪み
  • 残像:動いた軌跡に残像が残る現象
  • フリッカー:蛍光灯の照明下などで縞模様が発生
  • モアレ:モニターや網戸の撮影で縞模様が発生
  • ノイズ:本来求める信号とは別に、必要のない情報

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