高校物理の原子の定義・法則などをまとめました。勉強に役立ててもらえれば幸いです。
原子
高校物理の「原子」とは
原子とは、物質の基本的な構成要素の一つであり、化学的な反応において化学的な性質を示す最小単位です。
高校物理の「原子」では原子の構造、原子を構成する電子・原子核、粒子性や波動性などの量子力学の基礎を勉強します。
原子や粒子などの微細な世界の理解は物理現象の解明や最先端技術に応用され、現代社会に必要不可欠な要素となっています。高校物理の「原子」では微細な世界の基礎を勉強する目的があります。
原子
「原子」とは物質の基本的な構成要素の一つであり、化学的な反応において化学的な性質を示す最小単位。
例えば大気にある酸素 (酸素分子 O\(_2\))は2つの酸素原子 Oで構成される。
原子構造 (ラザフォードの原子模型)
原子はマイナスの電気量を持つ「電子」とプラスの電気量を持つ「原子核」で構成される。原子核はさらにプラスの電気量を持つ「陽子」と電気量を持たない「中性子」で構成される。
この通常の状態では電子の数と陽子の数は同じで原子としては電気量が0の状態。
この原子模型は「ラザフォードの原子模型」と呼ばれ、その他には「トムソンの原子模型」や「長岡の原子模型」などが提案されたが、「ラザフォードの原子模型」だけが実験結果をうまく説明することができた。
電子
電子
電子は原子を構成する粒子の一つであり、負の電荷を持つ。原子を構成する電子は原子核の周りの軌道上を回っている。
ただし、電子に高いエネルギーを与えたりすると原子に拘束されていた電子が原子が飛び出すことがある。
陰極線
「陰極線」とは真空管などで観測できる電子のビーム (電子ビーム)のことである。この電子ビームは負極(陰極)から発生して陽極方向へ加速されながら移動をする。
加速された電子が蛍光物質に衝突すると、そのエネルギーを放出して蛍光を発する。
また、陰極線は電場や磁場の影響を受けて曲がることがあり、これを利用して電子の挙動を研究したり、ディスプレイやCRT(陰極線管)などの技術に応用される。
トムソンの実験と比電荷
「トムソンの実験」は放電管内で陰極線を観察することで、電子の存在を示しました実験である。トムソンは放電管の中に電圧をかけて陰極線を発生させ、それに磁場によって曲がることを観察した。さらに、電場を加えることで陰極線の曲がり方が変化することも発見した。この変化から電荷と質量の比である「比電荷 e/m [C/kg]」がわかり、この比電荷が陰極に用いる金属や気体の種類によらず常に一定の値であることを発見した。この結果から物質の中には負の電荷を持った共通の粒子 (電子)を含むことが示された。
ミリカンの油滴実験と電気素量
「ミリカンの油滴実験」は電子の電気量 (電気素量)を求める実験である。
この実験では電場がかかっている場所に霧吹きで油滴を作って、さらにその油滴に電荷を与えることで重力と電場によってかかる力が釣り合って油滴が空気中に浮かぶ。この状態で電界をなくすと油滴は落下する。このときの油滴の速度を観測することで油滴に与えられた電気量がわかる。この実験の何度も繰り返すと電気量がある値の整数倍になることを発見した。この電気量の最小単位が「電気素量」で、この実験から電子の電気量 (電気素量)を求めることができた。
原子核
原子核
改めてになるが原子はマイナスの電気量を持つ「電子」とプラスの電気量を持つ「原子核」で構成される。原子核はさらにプラスの電気量を持つ「陽子」と電気量を持たない「中性子」で構成される。
ちなみに原子核は電子の10万分の1程度の大きさである。
原子番号・質量数
原子の種類 (元素)は陽子の数で決まり、この数を「原子番号」という。
また、原子は電子と陽子と中性子で構成されるが、このうちの電子は陽子と中性子と比べるととても軽く、陽子と中性子はほとんど同じ質量を持つ (中性子のほうが若干重い)。そのため原子の質量は陽子と中性子の数で決まり、その数を質量数という。
例えば炭素では原子番号が6、質量数は12で下記のような書き方をする (元素によって原子番号は固定だが、質量数は複数ある)。
炭素の原子記号:$$^{12}_6C$$
核力
陽子は静電気で反発し合うのに原子核でまとまっているのは「核力 (かくりょく)」と呼ばれる静電気以外の力が働いているためである
同位体
同じ元素では陽子の数は同じだが、質量数は異なる原子がある。これは同じ元素でも中性子の数が違うことがあるためである。それらは同位体と呼ばれ、天然で存在する同位体の比率はほとんど一定である。
例えばほとんどの水素の質量数は1だが、質量数が2や3の水素も存在する。これらはそれぞれ重水素、三重水素と呼ばれる。
ボーアの理論
水素原子のスペクトル
連続スペクトルは、白熱電球や太陽の光のように、すべての色が連続して見えるスペクトルです。虹のように滑らかに色が変化し、途切れがありません。これは、幅広いエネルギーの光が放出されるために起こります。
これに対して、水素原子のスペクトルは「線スペクトル」と呼ばれ、特定の色の線が見えるのが特徴です。ボーアの理論によると、水素原子の電子は特定のエネルギーレベルにしか存在できません。電子が高いエネルギーレベルから低いエネルギーレベルに移動するとき、特定の色の光を放出します。この光の色は、電子が移動するエネルギーレベルの差によって決まります。
ボーアの理論
ボーアの理論は、水素原子の電子が特定の軌道を回ることを説明します。この軌道は「エネルギー準位」と呼ばれ、各エネルギー準位には特定のエネルギーがあります。電子は通常、低いエネルギー準位にいますが、エネルギーを吸収すると高いエネルギー準位に移動します。
ボーアの理論では「量子条件」が使われます。量子条件とは、電子が回る軌道が特定の離散的な値をとることです。つまり、電子は連続的にエネルギーをとるのではなく、特定のエネルギー準位のみに存在できます。
電子が高いエネルギー準位から低いエネルギーレベルに戻るとき、エネルギーを光の形で放出します。この光の色は、エネルギー準位の差によって決まります。例えば、蛍光灯が光るのもこの原理です。電子が高いエネルギー準位から低いエネルギー準位に移動するときに光を放つためです。
ボーアの理論は、原子の構造と光の放出を理解するための重要な基礎となっています。
まとめ
本記事では高校物理の「原子」の定義や法則をまとめました。
原子の理解は物質の基本的な性質や挙動を理解する上で不可欠です。原子の構造や性質を学ぶことで、化学反応や物質の相互作用を理解し、新しい物質を設計したり、現象を説明したりすることが可能になります。また、原子の知識はエネルギーの生成や利用、素粒子物理学など、さまざまな科学分野に応用されます。
本記事で少しでも高校物理の「原子」の学習に役立てていたら幸いです。
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