【半導体・電子回路】MOSFET (MOSトランジスタ)とは

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 MOSトランジスタ (MOSFET: Metal–Oxide–Semiconductor Field-Effect Transistor)はMOS構造を用いたトランジスタです.本記事ではMOSトランジスタについて説明します.

ドランジスタとは

 トランジスタ図1のように3端子を持つ半導体素子です.入力した信号を増幅して出力する増幅器として利用できます.また,ある電圧を超えて急激に電流が流れる特性を生かして,ある電圧値以上はオン,以下はオフとして扱うことでスイッチとしても利用されます.このスイッチを組み合わせて,福l雑な動作をするデジタル電子回路も作ることができます.

図1 トランジスタとは

 トランジスタが信号を増幅させる原理は,以下でMOSトランジスタの動作の説明としてします.

MOSトランジスタ (MOSFET)とは

 MOSトランジスタ (MOSFET)MOS構造を利用したトランジスタです.MOS構造は金属-酸化膜-半導体を接触させた構造です.酸化膜 (O)は絶縁体 (I)で,MOS構造はMIS構造の一種です (MIS構造についてはこちら).

MOSFETの動作原理

 MOSFETの動作原理について説明していきます.MOSFETはG (ゲート),S (ソース),D (ドレイン),B (ボディー)の4端子を持つトランジスタです.そのうちのB (ボディー)は,トランジスタの基盤やwellの電圧です.このボディーはS (ソース)と繋げることが多いため,ボディーを省略して3端子として扱うことが多いです.図2にMOSトランジスタの構造を示します.

図2 MOSトランジスタ (MOSFET)の構造

 MOSFETは図のように,PチャネルMOSFET (pMOS)NチャネルMOSFET (nMOS)の二つがあります.この二つはn型半導体とp型半導体が入れ替わっていますが,これによって移動するキャリアもことなります.pMOSでは正孔が移動し,nMOSでは電子が移動します.MOSFETのようにキャリアが一種類のトランジスタはユニポーラトランジスタといいます.また,キャリアはソースからドレインに移動しますが,ソースとドレインの構造上の違いはありません.

 nMOSの動作原理について図3で説明していきます (pMOSは反対の動作をする).MOSFETのゲートは金属です.MIS構造で説明したように,このゲートにかける電圧によって,ゲート下に電子が存在する状態 (反転層)とそうでない状態を制御することができます.

図3 nMOSの動作原理

 ゲートをオフにして,移動できる電子がほとんど存在しない状態では,ソース-ドレイン間で電子が移動できません.そのため電流も流れません.ゲートをオンにして,ゲートしたで電子が存在する状態 (反転状態)では,ソース-ドレイン間がすべてn層となり,電子が移動できるようになります.そのため,電流も流れます.

 以上のように動作するため,nMOSの電流-電圧特性は図3の右図のようにになります (\(V_{GS}\):ゲートの印加する電圧,\(I_D\):ソース-ドレイン間で流れる電流).

エンハンスメント型とデプレッション型

図4 エンハンスメント (Emhancement)型とデプレッション (Depletion)型)

 MOSFETはエンハンスメント (Emhancement)型デプレッション (Depletion)型があります.図4のようにゲートの電圧 \(V_G\)が0 Vのときにソース-ドレイン間で電流が流れないMOSFETがエンハンスメント (Emhancement)型,電流が流れないMOSFETがデプレッション (Depletion)型です.ゲートしたに特別に不純物を添加しないとエンハンスメント型になります.反対に,ゲート下にボディーと反対の型になる不純物を添加することで,電流が流れ始める電圧を制御でき,デプレッション (Depletion)型のMOSFETができます.

MOSFETの記号

図5 MOSFETの記号

 MOSFETの回路記号はたくさんありますが,よく使われる記号を図5に示します.4端子の記号と,ボディーを省略した3端子の記号があります.4端子の記号はpMOSかnMOSを示していますが,ゲート下に反転した層と基盤の型でp型からn型へ矢印が向きます.またエンハンスメント型はゲートに電圧をかけていない場合に電流が流れないので点線で,デプレッション型が電流が流れるので一本線で示されます.

CMOS回路とは

 CMOS (Complementary Metal Oxide Semiconductor)回路は,MOSFETのnMOSとpMOSの両方を用いた回路です.

 CMOS回路はバイポーラトランジスタ (BJT)で構成したTTL (Transistor Transistor Logic)回路や,nMOSで構成したnMOS回路と比較して,低消費電力などのメリット持ち,現在 (2021/12/5現在)の主流となっています.

まとめ

  • トランジスタ:スイッチや増幅器として働く3端子を持つ半導体素子
  • MOSトランジスタ (MOSFET):MOS構造を用いたトランジスタ
  • MOSトランジスタの端子:G (ゲート),S (ソース),D (ドレイン),B (ボディー)
  • エンハンスメント型:ゲート電圧 (V_G)が0 Vで電流が流れない
  • デプレッション型:ゲート電圧 (V_G)が0 Vで電流が流れる
  • CMOS回路:pMOSとnMOSで構成された回路

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