【カメラ・イメージセンサ】高輝度黒反転とは?

工学
あお

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 高輝度黒反転はCMOSイメージセンサ特有の現象で,太陽光などの強い光がセンサに当たったときに出力信号の一部が黒く反転してしまう現象です.本記事では高輝度黒反転の原理について説明します.

高輝度黒反転とは

高輝度黒反転の概要

 高輝度黒反転はCMOSイメージセンサ特有の現象で,下の図のように太陽光などの強い光がセンサに当たったときに出力信号の一部が黒く反転してしまう現象です.

※高輝度黒反転の再現

発生原理

 高輝度黒反転は下の図のように相関2重サンプリング (CDS)動作によって発生します.

 相関2重サンプリングの動作は,まず信号をフォトダイオードに蓄積させます.その後FD (フローティングディフュージョン)の電圧レベルをリセットし,リセットしたFDの信号を転送します.次にフォトダイオードに蓄積した電荷をFDに転送し,そのFDの信号を転送します.そしてリセットしたFDの信号と,フォトダイオードで発生した電荷を読み出したFDの信号の差分をとることで出力信号を取得します.

 高輝度黒反転は極めて強い光があたっているときに,FDをリセットしてから,リセットしたFDの信号を転送するまでの短い間にフォトダイオードからFDに電荷がオーバーフローしてしまいます.そして電荷が溜まったFDをリセットレベルとして信号を転送してしまうため,フォトダイオードで発生した電荷を転送したFDの信号との差分がほとんど0となってしまい,黒色として出力されることで発生します.

高輝度黒反転の改善方法

対策方法具体的な方法効果
露出調整シャッタースピードを速くする(1/1000秒以上)、F値を上げる(F4.0以上)、ISOを下げる(ISO100~200)センサの飽和を防ぐ
NDフィルター光量を抑えるためにNDフィルターを使用黒反転の軽減
オートゲイン調整AGC(オートゲイン)を無効化または手動調整急激なゲイン変化を防ぐ
HDR設定調整HDRの強度を下げる、または無効化不適切な補正を防ぐ
高性能センサを使用HDR対応・12bit以上の高ビット深度・BSIセンサを選ぶ高輝度黒反転の抑制

撮影設定を調整する

露出を適正にする(シャッタースピードを速くする・F値を上げる)

  • F値を上げて(F4.0以上)、シャッタースピードを速くする(1/1000秒以上)と、センサへの過剰な光の入力を抑えられる。

ISO感度を下げる

  • ISOを低く(ISO100~200)設定すると、センサが過剰に光を受け取らず、飽和を防ぐ。

NDフィルターを使用する

  • 強い光源を撮影する場合、NDフィルターを使って光量を抑えることで、センサの飽和を防げる。

カメラの設定・機能を調整する

オートゲイン(AGC)を無効化する

  • 一部のカメラでは、オートゲイン(AGC)を手動設定にすることで、急激なゲイン低下を防ぎ、高輝度黒反転を回避できる。

HDRモードを変更または無効化する

  • HDRが原因の場合は、HDRの強度を下げる、またはHDRを無効にすることで改善することがある。

ハイライト補正機能(Highlight Correction)を活用する

  • 一部のカメラには、「ハイライト補正」や「トーンマッピング」機能があり、これを有効にすると黒反転を抑えられる。

センサの特性を考慮する

高ダイナミックレンジ(HDR)対応のセンサを選ぶ

  • HDRに特化したセンサは、光の階調をなめらかに処理し、高輝度黒反転を起こしにくい

12bit以上の高ビット深度のセンサを使用する

  • センサのダイナミックレンジが広いと、極端な露出変化にも対応しやすくなる

裏面照射型(BSI)センサを使用する

BSIセンサは受光効率が高く、白飛びや黒反転を抑えやすい

まとめ

  • 高輝度黒反転:強い光がセンサに当たったときに出力信号の一部が黒く反転してしまう現象
  • 高輝度黒反転の原因:電荷が容量を超えてしまい,信号が漏れることで起こる

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