イメージセンサは一眼レフカメラやスマホに使われるようなイメージングだけに留まらず,様々な応用技術があり,様々な応用先で使われています.本記事ではこれらについて紹介していきます.

距離センサ
距離センサはカメラシステムから対象物までの距離を計測するためのセンサです.例としてよく使われるステレオカメラ,ToF (Time of Flight), 構造化照明型3Dカメラの3つについて解説します.
ステレオカメラ

ステレオカメラは、異なる位置に配置した2台以上のカメラで撮影し、画像間の視差から三角測量によって距離を求める方式です。プロジェクタなどの光源と1台のカメラを組み合わせる方式は、構造化光やアクティブ三角測量として分けて説明します。
ステレオカメラのメリット
・通常のカメラを利用できる
・受動方式では専用の投光器が不要
ステレオカメラのデメリット
・カメラ間の校正が必要
・暗所や模様の少ない面など、対応点を求めにくい場面では精度が低下する
・遠距離では十分な基線長や高い画像分解能が必要
・対応点探索などの計算量が必要
ToF (Time of Flight)

ToF(Time of Flight)は、カメラと同期した光源から光を照射し、戻ってきた光から対象物までの距離を求める方式です。dToF(direct ToF)は光パルスの往復時間を直接測定します。iToF(indirect ToF)は一般に強度変調した光を照射し、戻り光との位相差や相関から距離を推定します。
ToFのメリット
・距離レンジが広い
・暗い場所で計測可能
・計算がシンプル
・高速でリアルタイムに適している
・低コスト
・コンパクト
ToFのデメリット
・背景光に弱い
・黒い物体など光を反射しない対象物を計測できない
・マルチパスに弱い
構造化照明型3Dカメラ

構造化照明型3Dカメラ (ストラクチャード・ライト方式)では予め決められたパターン光を照射して,投影されたパターンのひずみから距離を計算する手法です.
構造化照明型3Dカメラのメリット
・高精度
・暗い場所での計測が可能
構造化照明型3Dカメラのデメリット
・コンパクト性に欠ける (プロジェクターが必要)
・明るい場所で計測できない
可視光以外
通常のカメラでは人の目で見れる可視光のみを計測するようにしますが,それ以外の赤外線などを撮影して,通常では撮影できないことを実現させるセンサがあるので,紹介します.
赤外線カメラ
NIRやSWIRの赤外線カメラは、主に反射光を利用した材料識別、検査、暗視、透過観察などに利用されます。一方、物体自身の熱放射を利用した温度測定には、主にMWIRやLWIRなどの熱赤外線カメラが用いられます。
NIR/SWIRカメラの応用例
・材料の識別
・可視光で見えにくい傷や内部状態の観察
・血管撮影
・水分検出
・透過検査
・霧や暗所での撮影
サーマルカメラ
人や物は温度に応じて赤外線などを放出しますが,この赤外線を計測することで対象物の温度を計測するカメラがサーマルカメラです.
紫外線 (UV)カメラ
紫外線 (UV)カメラは紫外線を撮影するためのカメラです。物質ごとのUV反射率、吸収率、蛍光などが可視光と異なることを利用して、表面欠陥や汚れ、材料差などを強調できます。波長が短いほど必ず反射しやすいというわけではありません。
その他の可視光以外
その他の可視光以外を利用する応用として,x線を計測するx線計測器や,容量を計測する容量イメージセンサなどがあります.
ビジョンセンサ
ビジョンセンサは画像そのものを得るだけではなく,データの認識までを行うセンサです.ビジョンセンサとしてセンサチップにAI機能を組み込んだインテリジェントビジョンセンサやセンサ内でエッジ処理やパターンマッチングを行うものがあります.
イベントベースビジョンセンサ (EVS)
イベントベースビジョンセンサ(EVS)は、通常のフレーム画像を順番に取得するのではなく、各画素が明るさの変化を検出すると、画素座標、時刻、変化方向(polarity)などを非同期に出力するセンサです。前フレームとの差分を取っているわけではありません。低遅延・高ダイナミックレンジ・低データ量などの特徴から、ロボティクスや自動運転などで研究・利用されています。
その他
偏光センサ
偏光イメージセンサは、光の偏光方向や偏光度を画素レベルで計測します。反射・映り込みの識別、表面状態の検査、透明物体の応力評価、物体形状推定など、通常の輝度画像だけでは得にくい情報の取得に利用できます。
色分離型イメージセンサ (三層型イメージセンサ)
通常のイメージセンサではベイヤー配列などで各画素にカラーフィルタがあることで赤・緑・青の色分けををしますが,色分離型イメージセンサ (三層型イメージセンサ)では光の波長 (色)によってセンサで電荷の発生する平均の深さが違うことを利用して,カラーフィルタなしで各層で発生した電荷で色分けをするイメージセンサです.この方式では解像度を上げやすい,カラーフィルタで光を吸収することがないため光の利用効率が高くできる,分光特性がベイヤー配列と比較して広がりを持つなどの特徴がある.
有機膜イメージセンサ
有機膜イメージセンサは有機膜で電荷変換させるイメージセンサです.色分離イメージセンサの一つの色を有機膜で電荷変換させるなどでも利用されます.
応用先一覧
通常の単眼カメラや以上で説明したイメージセンサは以下のような場所で応用されます.もちろん応用される場所によって要求される特性も変わってきます.例えばオートモーティブは自動車等での応用ですが,この場合は振動や高熱にも耐えられなければいけません.またイメージセンサの応用先はさらに広がりつつあり,医療・生体では様々な計測や処理による工夫でガン,やけどなどの診断やトモグラフィーなどに応用する研究がされています.
イメージセンサの応用先
・ FA (ファクトリーオートメーション)
・ オートモーティブ
・ セキュリティ
・ 医療・生体
・ 顔認証
・ 科学 (宇宙等)
まとめ
- ステレオカメラ:複数のカメラの視差を利用して距離を計測する手法
- ToF (Time of Flight):光を照射して返ってくるまでの時間を計測することで距離を計測する手法
- 構造化照明型3Dカメラ:パターン光を照射して,投影されたパターンのひずみから距離を計測する手法
- 赤外線カメラ:赤外線を撮影するためのカメラ
- サーマルカメラ:対象物から放出される赤外線を計測することで,対象物の温度を計測するためのカメラ
- 紫外線 (UV)カメラ:紫外線を計測するためのカメラ
- ビジョンセンサ:ビジョンセンサは画像そのものを得るだけではなく,データの認識までを行うセンサ
- イベントベースビジョンセンサ (EVS):明るさの変わったエッジのみを撮影するためのセンサ
- 偏光センサ:偏光した光の画像を取得できるセンサ
- 色分離型イメージセンサ:電荷の発生する深さで色分離をするイメージセンサ
- 有機膜イメージセンサ:有機膜で電荷変換させるイメージセンサ
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