【イメージセンサ】ローリングシャッター歪み・残像とは?

工学
あお

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 ローリングシャッタのイメージセンサで,動いている被写体を撮影すると歪むことがあります (ローリングシャッタ歪み).本記事ではローリングシャッタ歪みと残像について解説します.

ローリングシャッター歪みの概要

ローリングシャッター歪みとは

※ローリングシャッター歪み
( https://minkara.carview.co.jp/userid/1329862/blog/25805059/ より引用)

 ローリングシャッター歪みはローリングシャッターで,高速で動く被写体を撮影するときに上の写真のように,画像の上と下でずれて歪んでしまう現象です.ローリングシャッターはCMOSイメージセンサで採用されていることが多いため,ローリングシャッター歪みもCMOSイメージセンサで発生しやすいです.

ローリングシャッター歪みの原因

 グローバルシャッターは全画素で光を露光するタイミングが同じであるのに対し,ローリングシャッターは画素の下の行などから順に露光します.ローリングシャッターでは下の行などから順に光を露光するため,被写体が高速で移動している場合は画素の下の行で露光したときから遅れて,上の行では露光するため被写体が移動した状態を露光するため画像が歪んでしまいます.

ローリングシャッター歪みの改善方法

 ローリングシャッター歪みはローリングシャッターで発生してしまうため,グローバルシャッターであれば発生しません.他には高いフレームレート (fps)で撮影 (高速撮影)することで,下の行で露光するタイミングの上の行で露光するタイミングの差が小さくなり,ローリングシャッター歪みを抑えることができます。

 ユーザーとしては被写体の動きに合わせてカメラを移動させて撮影 (流し撮り)することでも,ローリングシャッター歪みの影響を抑えることができます.

残像の概要

残像とは

※残像

 残像は前のフレームの信号が完全に転送しきれずに,次のフレームで信号が出てきてしまうノイズです.そのため動かない対象物ではわかりませんが,速く動く対象物でみられます.

 原因としては電荷の移動するスピードが遅く信号が残ってしまう,転送するゲートが電位障壁が十分に下がっていない,電荷が酸化膜などで捕獲されてしまうなどがあげられます.

 残像はただ次のフレームに残るだけではなく,残像が起こる場合は画素毎によって違いがあるため固定パターンノイズとしての成分も出てきますし,同じ画素でもどれだけ電子が残るかがランダムに変化するショットノイズの成分もあります.また非線形性の原因にもなるので残像が極力なくすように設計する必要があります.

残像の対策方法

シャッタースピードを速くする

シャッタースピードを速くする(1/500秒以上)

  • 速いシャッタースピード(1/500秒、1/1000秒以上)に設定することで、被写体の動きが止まるように撮影できます
  • 速いシャッターであれば、動きの速い被写体でも残像が出にくくなります。

スポーツモードを活用する

  • 多くのカメラにはスポーツモードが搭載されており、これを選ぶことで自動的に速いシャッタースピードに設定され、残像の軽減が期待できます。

カメラの安定化を確保する

三脚を使用する

  • カメラが動かないようにするために、三脚を使用することでカメラの揺れを防ぎ、シャッタースピードが遅くても残像を減らすことができます。
  • 特に低速シャッターでの撮影時には三脚が効果的です。

手ブレ補正機能を使う

  • 手ブレ補正機能(IS、OIS、VRなど)を有効にすることで、カメラの揺れを抑えることができ、残像を軽減できます。
  • 手ブレ補正機能があるレンズやカメラを使うと、動きのある被写体でもシャープに撮影できます。

適切なISO感度を選ぶ

ISO感度を高く設定する(ISO400以上)

  • ISO感度を上げることで、カメラが暗い場所でもより早いシャッター速度で撮影できるため、残像を減らすことができます。
  • ただし、ISO感度を上げすぎるとノイズが増えるので、適度な設定が重要です。

被写体の動きに合わせて撮影する

パン撮影(動く被写体と一緒にカメラを動かす)

  • 動きの速い被写体を追いかけるようにカメラを動かすことで、被写体はシャープに映し、背景がぼやける効果が得られます(パンフォロー)。
  • 被写体の動きとカメラの動きが一致することで、残像を効果的に防げます。

その他の撮影テクニック

連写モードを使用する

  • 連写モードで撮影することで、動きのある被写体を複数回撮影し、最もシャープなものを選ぶことができます。

シャッター優先モード(TvまたはSモード)を使用する

  • シャッター優先モードに設定し、自分でシャッタースピードを選択することで、適切な速度で撮影できます。

まとめ

  • ローリングシャッター歪み:ローリングシャッターで高速で動く被写体を撮影するときに画像の上と下でずれて歪んでしまう現象
  • 残像:前のフレームの信号が次のフレームに残ってしまうノイズ

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