名前の通りですが,アナログ電子回路はアナログ (連続的)な電気信号を扱う電子回路,デジタル電子回路は電気信号をデジタル (離散的)として扱う電子回路です.本記事ではアナログ電子回路とデジタル回路とは何かと,それぞれの違いについて解説していきます.
アナログ電子回路とデジタル電子回路の違い
アナログ電子回路とデジタル電子回路は上図のように,電気信号をアナログ (連続的)かデジタル (離散的)として扱うかの違いがあります.
電気信号に限らず,自然界に存在するものはアナログであることがほとんどです.アナログ電子回路はアナログである電気信号を,そのままアナログとして扱います.デジタル電子回路では電気信号で1 (H)の状態と0 (L)の状態を作ることで,電気信号をデジタルとして扱います.しかし電気信号自体はアナログであるため,高速に動作させるときれいな1と0の状態を作ることが難しくなってきます.このときにアナログ回路の知識が必要になります.なのでデジタル電子回路はアナログ電子回路の一部とも言えます.
アナログ電子回路
アナログ電子回路の利点と欠点
アナログ信号はデジタル信号と比較して信号の劣化がしやすく,データのコピーが難しく,再現性が乏しいなどの欠点があります.そのためデジタル電子回路がよく使われることが多くなってきました.
しかし自然の信号 (温度,音,光など)や電気信号自身はアナログです.そのためアナログ電子回路は必要不可欠で,なくなることはありません (電子回路が続く限り).
アナログ電子回路の応用先
アナログ電子回路は下記に示すような回路で利用されています.
アナログ電子回路の例
- センサ (マイクロフォン,イメージセンサなど)
- A/D変換器
- 増幅回路
- 発振回路
- 変調回路
- 電源回路
デジタル電子回路
デジタル電子回路の利点と欠点
デジタル電子回路はアナログ電子回路と比べて,信号の劣化がしずらい,データのコピーが容易,再現性が高いなどの利点があります.このような利点から,PCなどの計算ではほぼすべてがデジタル回路で構成されています.
ただデジタル電子回路では信号が”01100110″のように0と1の羅列で信号を扱っており,ノイズなどのなんらかの影響で数字一つがずれてしまうだけで,信号が全くおかしくなってしまうことがあります.そのためこれらに対応できるような構造にする必要があります.
デジタル電子回路に似たものに,論理回路 (ロジック)があります.論理回路は電気の特性などは考慮せず,信号が完全に0か1として扱う数学的な回路です.デジタル電子回路はこの論理回路を実際に実現する回路といえます.
デジタル電子回路の応用先
デジタル電子回路は下記に示すような回路で利用されています.
デジタル電子回路の例
- フリップフロップ
- カウンタ
- シフトレジスタ
- 位相同期回路
- 加算器,乗算器
- CPU (central processing unit)
- メモリ
まとめ
- アナログ電子回路:アナログ (連続的)な電気信号を扱う電子回路
- デジタル電子回路:電気信号をデジタル (離散的)に扱う電子回路