【カメラ・イメージセンサ】シェーディング (周辺減光)とは?

工学
あお

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シェーディング (周辺減光)とは

 シェーディング (周辺減光)は下の図のように,写真の中心に比べ隅が暗くなってしまう現象です.これを写真の味とすることもできますが,邪魔にもなります.

 原因としてはイメージセンサの周辺部 (像高が高い部分)では,斜めに入射する光が多いことにあります.光が斜めから入射すると暗くなる理由としては口径食,画素の感度違い,コサイン4条測があります.

※シェーディング (周辺減光)の再現

口径食

 口径食は斜めから入射した光が,レンズの筒に一部が遮られてしまうことです.これによって隅が中心に比べて暗くなってしまいます.口径食はレンズを絞ることで抑えられるため,シェーディング (周辺減光)も抑えることができます.

画素の感度の違い

 また,シェーディングはイメージセンサの中央にある画素と隅にある画素の感度の違いによっても発生します.隅にある画素は斜めから入射する光が多いため,光が遮られやすく,感度が落ちてしまいます.結果としてシェーディングの原因の一つとなります.

 これもレンズを絞ることで少し抑えられます.また,イメージセンサを設計する際に,これを考慮した瞳補正によっても抑えることができます.

コサイン4条測

 他の原因にコサイン4条測があります.コサイン4条測はイメージセンサにまっすぐ入射する光に比べ,斜めに入射する光がセンサの受光面で広がるため,隅でより暗くなる物理現象です.これはレンズを絞っても抑えることはできません.

シェーディングの対策方法

 シェーディングはハードウェア、画像処理、撮影時の工夫により対策が可能です。

ハードウェアによる対策

高品質なレンズを使用
  ・F値が大きめ(F2.8以上)のレンズを使うと、周辺光量落ちが少ない。
  ・高性能なコーティングが施されたレンズは、シェーディングを軽減。

センサとレンズの最適化
  ・裏面照射型センサ(BSI)を使うと、色ムラが減る。
  ・マイクロレンズの最適配置 (瞳補正)により、光の取り込みを均一化。

レンズ補正フィルターを使用
  ・特定のフィルターを装着することで、周辺光量を補正。

画像処理による対策

カメラの「周辺光量補正」機能を活用
  ・デジタルカメラやスマホには、ソフトウェアでシェーディングを補正する機能が搭載されていることが多い。

撮影時の工夫による対策

F値を少し上げる(F4〜F5.6)
  ・絞りを開放(F1.8やF2.0)で撮ると周辺光量落ちが起こりやすいため、F4以上にすることで改善可能。

中央構図を意識する
  ・重要な被写体を画面中央に配置することで、周辺のシェーディングの影響を受けにくくする。

光源の配置を工夫
  ・均一な照明環境を作ることで、色ムラの影響を最小限に抑えられる。

シェーディングの利用

 シェーディングは多くの場合は邪魔な現象になりますが,これを活かして味のある写真を撮影することにも利用できます.このときはシェーディングを抑えたいときとは反対に絞りを開けることでよりシェーディングを発生させられます.

まとめ

  • シェーディング (周辺減光):写真の中心に比べ隅が暗くなってしまう現象
  • シェーディングの原因:口径食,画素の感度の違い,コサイン4条測
  • 口径食:斜めから入射した光がレンズの筒に一部が遮られること
  • 画素の感度の違い:中央と周辺の画素の感度の違いがシェーディングの一つの原因となる
  • コサイン4条測:斜めに入射する光がセンサの受光面で広がるため、隅でより暗くなる物理現象

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